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Designer's Blog 2010

What a wonderful “Design” world!

Always Beginning !

2010.1.03

kurage.jpg新年あけましておめでとうございます。

 年末に映画を観に出かけたところ、閉店間際のウェンディーズの看板が目に留まり、思わず自分も列に並び、ハンバーガーを食べた。それも連日………おいしかった。

 連日観た映画というのは、ジェームズ・キャメロン監督の最新作「AVATAR」である。連日だから、もう2回観ている。
近年、同じ映画を映画館で連日観た記憶は無いが、この調子では早々3回目に突入しそうな勢いだ。個人的に、数あるSF映画の中では、ブレードランナー以来の大きな衝撃だと思っている。
 その「AVATAR」を観た押井守氏が“10年かけても追いつけない”と言ったようだが、この映画の映像は素晴らしい。話題の3Dの効果は抑えめで、“飛び出る”と言うよりも“奥行き”を表現した感じだが、次第にリアルな映像に引き込まれ、慣れない3Dメガネの存在も忘れてしまう程だった。

 ジェームズ・キャメロン監督は、1995年に「AVATAR」の脚本を書き上げたとのことだが、その間「タイタニック」などの映画製作の中で、CGやVFXの可能性を実践し、3D映像製作上の技術的問題を解決するために試行錯誤を重ね、自らが中心となって開発したフュージョン・カメラ・システムを用い、3D映像の製作に取り組んだという。今までなかなか進まなかった3Dの映画製作だが、今回の「AVATAR」の衝撃は、3Dの映画を普及させるきっかけとなったことだろう。

 そしてやはりCGの出来に目が行ってしまうのだが、惑星パンドラに生息する架空の生物のデザイン、車両や研究室のメカニカルデザイン、大自然を模した背景の作り込みに目を奪われた。特に印象的だったのは、夜の森の中で光る植物の表現だ。あの光の映像表現は、技術的にもとても興味深いものがある。私自身、映画や映像の世界の表現の自由さからインスピレーションを受けることが多く、次の作品作りへ向けて非常に刺激を受けた。

 という具合で「AVATAR」熱が冷めないまま、帰宅後TVを付けると、また大好きな映画が放映されていた。マーティン・スコセッシ監督+ロバート・デニーロ主演の「タクシードライバー」だった。30年前に製作されたこの映画をもう10回は観ただろうが、また最後まで観てしまった。いい映画は何度観ても飽きない。私にとって「AVATAR」もそんな映画になるのだろうか?

 そんな中、先日行われたCG関係のイベント「SIGGRAPH Asia 2009」で講演したガンダムの富野由悠季氏の講演をネットで見つけた。
「アバター」ではモーションキャプチャがどうしたこうしたいっているが,あんなものは見るに耐えない!」「あれが見るに耐えないと感じられないなら,この仕事は辞めちまえ!」と。
意見は皆それぞれだが、これぞクリエイター魂炸裂の雄叫びだ。「俺に言われるのが悔しかったら、もっと凄いもの作れ!」という応援だと感じる。その他フルCGの映画製作に関しての独自の指摘は、とても印象的だった。

 本当は“年末年始はのんびり新たなソフトの練習でもしよう”と思っていた。しかし「AVATAR」を観て、そんな呑気な事を言ってられないと心底思ってしまった。年明け早々の仕事は今まで以上に気合いが入る。そういう意味で、2010年はまたチャレンジの年となるだろう。

「Always Beginning !いつだって始まりだ」 富野氏の講演の締めの言葉だ。

 そう言えば「10年かけても追いつけない」と言った押井守監督の「イノセンス」を、映画館で2回観た事を思い出した。
「キャメロンに勝てるとは言わないけど、 僕らにしかできないことをやるしかない。違う戦争ならできるからね」

「あれが見るに耐えないと感じられないなら,この仕事は辞めちまえ!」………彼らの言葉を思い出しながら、もう一度「AVATAR」を観てみようと思う。